*読書記録*

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カズオ・イシグロ【浮世の画家】
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)
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 戦時中名をなした画家小野だったが、戦後の今は屋敷にこもり隠遁生活をしている。戦中と戦後で、正反対に変わった価値観が、彼を翻弄する。

 人は、なにを生きる拠り所とするのだろう。
 そして、自分のそれが他者からは何も価値がないと、やんわりと否定された時、自我を保っていかれるものなのだろうか。

 ここに描かれているのは、鬱々とした日々をすごす一人の老人の姿だ。
 自分で語る自画像と、彼を取り巻く人が思っている彼の姿とが、まるでぶれた写真のように居心地悪く曖昧に、こちらに提示されてくる。
 カズオ・イシグロは、読者をだます作家だ。
 「日々の名残り」でも「私を離さないで」でも、こちらが見ていたと感じていた風景を、一瞬で虚無に返してしまった。
 だから、ちょっと構えて読んでいたのに…。

 人には生きる理由が、やはり必要なのだ。
 たとえそれが身勝手な、ある意味妄想だといえるようなものだとしても。そして、特に「過去」しかない老人にとっては、過去を生きる理由にするしかないのだ。
 小野の語る過去は、常に偽善的だ。
 だが、だれがそれを責めることができるだろう。彼はそうやって自分を、「浮世の画家」が描く、行燈の光と闇の薄ぼんやんリとした境に自分を置くことで結局は、過去にも今にも上手く生きることができなくなっているのだから。

 彼の哀しみは、戦争によって「リアル」を失ったことなのだろう。そして、彼はそれに気付いていない。
 だから、物語は閉塞したままで終わるしかない。






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