*読書記録*

読書記録、日々徒然。映画&ゲームもあります。
あたりまえですが、無断転載禁止ですよ。
と、コミュニケーションの取れないコメント&宣伝目的のトラクバック&ステマは内容問わず削除させていただきますm(__)m
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カーリン・アルヴテーゲン【満開の栗の木】
満開の栗の木 (小学館文庫)
カーリン アルヴテーゲン 小学館 (2013-01-04)売り上げランキング: 557,885


 アルヴテーゲンだから、ミステリーかと思って読んでたんだけど…。

 事業に成功したが、虚無感にとらわれ自殺未遂をおこした男と、田舎でホテルを経営している離婚した女性経営者。
 それぞれが、自分のトラウマにむきあっていく話。

 延々と同じところを回ってる感じがあって、ちょっとしんどいのだえど、らせん階段を昇って行って気づいたらすごい見晴らしのいいところに出たよ、って感じ。
 
 周りのキャラが、一癖も二癖もあるのだけど、彼らを通して二人を見ることで、結局人は一人だけで存在することはできないし、人を癒すのも人なしにはできないのだと語っているように思う。
 とはいえ、偏見に満ち満ちた老婦人にはいらっとしたけどww

 で、物語は、これからでしょ、ってところで終わってるんですけど。
 うーん。
 これから、ってところはロマンス小説みたいになるだろうし、むしろそうなるほうが正しいってわかってるからかな。
 
 人生には、それがステレオだろうが<ロマンス>は必要なのです。



 

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ケン・フォレット【巨人たちの落日】
巨人たちの落日(上) (ソフトバンク文庫)
ケン・フォレット Ken Follet ソフトバンククリエイティブ 売り上げランキング: 20115

巨人たちの落日(中) (ソフトバンク文庫)
ケン・フォレット Ken Follet ソフトバンククリエイティブ 売り上げランキング: 6210

巨人たちの落日(下) (ソフトバンク文庫)
ケン・フォレット Ken Follet ソフトバンククリエイティブ 売り上げランキング: 5936


 ケン・フォレットが描く第一次世界大戦。
 ウェールズの炭鉱から始まった物語は、ドイツ、アメリカ、ロシアの若者たちを俯瞰しながら進んでいく。

 読みながら、この「巨人」とは何なのだろうと、ずっと考えていた。
 まぁ、多分ロシア帝国であり、東ローマ帝国であり、ヨーロッパを支配してきた貴族社会なのだろう。
 それぞれは、それぞれの閉塞を抱え、故に落日に向かっていくのだ。

 炭鉱夫から政治家になっていく少年や、ロシア帝国の崩壊とともにソビエトの重鎮になっていく青年など、時流にのっていく者たちはそれはそれで魅力的なのだけど、古い貴族の価値観から脱することができず、妹や愛人に背を向けられていく男や、人間的であろうとしながらことごとく踏みにじられて行くドイツ人が、魅力的だった。

 この作品の子供たちの世代を描く、第二次世界大戦の話が来年(2012年)に刊行されるらしい。
 でもって、最終的には3部作として、近代100年を描くとか。

 …すごい、楽しみだ。






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* by * 21:10 * 文学ww翻訳 * comments(0) * trackbacks(0) *
カズオ・イシグロ【充たされざる者】
充たされざる者 (ハヤカワepi文庫)
カズオ イシグロ 早川書房 売り上げランキング: 19079


 世界的ピアニスト、ライダーはコンサートのためにヨーロッパのとある町にやってきた。
 町の住人は、それぞれに問題をかかえ、その解決をライダーに求める。

 ごついです。
 1000P近くあります。ま、これを上下巻とかに分けなかったハヤカワ文庫は、グットジョブだと思いますよ。

 ライダーは、ホテルのボーダーや支配人に始まって、とにかくありとあらゆる人から相談を持ちかけられたり、依頼をされたりするんだけど、どれも彼を尊敬しているといいながら、とにかく利己的なのだ。多分、本人も気づいていない欺瞞であったり、偽善なんだろう。
 そして、そういうのを延々と読まされるわけだ。

 ライダーじゃないけど、いい加減にしてくれといいたくなるのである。
 
 このどうしもようない不条理な感じが、カフカっぽいといわれてるらしいが、カフカの主人公には確固たる自我があるのに対して、ライダーには自我がない。
 その自我の変容は、まるでコンピューターグラフィックで人の顔が微妙に変っていく様子をみている感覚に近い。
 確かに、他人は自分を映す鏡ではあるけど、本来そこにあるべきゆるぎなさが、ない。

 ピアニストでコンサートのためにやってきたというのに、ライダーがピアノを弾くシーンはとても少ない。
 そのことが、彼のゆらぎの要因なのだろう。
 
 で、読み終わって「タイトル通りだな」と思った次第である。
 充たされない者は、なにがどうあっても、何を手にしても、結局は充たされることはないのだ。その充たされてない所以は、結局自身のせいであると気づかない限り、悪循環は続く。

 …そうか、そういう悪循環の話だったのかと、思う。










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* by * 21:21 * 文学ww翻訳 * comments(0) * trackbacks(0) *
カズオ・イシグロ【夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語】
夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)
カズオ イシグロ Kazuo Ishiguro 早川書房 売り上げランキング: 1570


 カズオ・イシグロの短編集。
 どれも<音楽>が関わってます。
 そして、物語はピンボールのようにそれぞれがつながっていきます。

 「夜想曲」が圧巻。
 整形するために、高級ホテルに滞在していたサックス奏者が、同じ理由で隣室に滞在していた有名ミュージシャンの元妻と知り合いになる。
 お互い、顔に包帯をまいてる状態で、ホテルの中という小さな世界で、二人は次々に冒険をする。
 少年少女のような、無垢がそこにある。

 が、それは<顔>というものがないから成立したことなのだろう。

 そして、そのことを二人は確実に知っている。
 そのことが、やるせない気持ちになるのである。

 うむ。どれも、切ない物語だった。

 「チェリスト」は、結局のところイシグロにとって<音楽>は、崇高なものでも救いでも何でもない、ただそこに存在するものであるという現れなのかもしれない。
 「わたしを離さないで」でも、音楽は大事な要素としてでてくる。が、そこに必然はない。主人公は、切実に音楽を求めているわけではない。
 「チェリスト」に出てくる大家は、結局何もなさなかった人なのだ。私は、そこにむしろ憎しみを覚える。
 <自分の才能を守らなければならない>と、教師を拒否して、ようするに何もやってこなかった彼女。
 それは、いわば音楽の否定に他ならないと思う。

 音楽を音楽たらしめるのに、テクニックは不可欠だ。
 その部分を完全否定して語る音楽は、所詮、絵空事でしかない。
 
 イシグロが描きたかったのは、むしろこの絵空事に気づかないで、小さい世界に閉じこもっていく彼女の哀れさだたのかもしれない。

 だとすれは、随分皮肉な話だ。

 音楽をテーマに描く話のほとんどは、音楽に対する強烈な愛情が根底にある。
 が、イシグロはその対極あるといっていいだろう。
 音楽への愛を叫ばない、音楽の短編集として、確かに新しい岸辺を臨んでいると思う。








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* by * 21:25 * 文学ww翻訳 * comments(0) * trackbacks(0) *
スコット・フィッツジェラルド【グレート・ギャツビー】
グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)
スコット フィッツジェラルド 村上春樹 中央公論新社 売り上げランキング: 1607


 村上春樹訳による「グレード・ギャッツビー」

 大昔にロバード・レッドフォードの映画の写真がついた文庫で読んでいたんだが、やはりタイトルと視覚からはいるイメージは強いんだろうなと思った。
 なので「華麗なるギャッツビー」とは全く別のものとして感じた。

 うん。
 これはギャッツビーの物語として表面を覆っているけれど、実は、語り手であるキャラウェイの物語なのだ。
 キャラウェイの孤独ゆえにギャッツビーは、デイジーと再会することになる。まるで、ギャッツビーの情熱というか執着だけが理由のようだけど、それはキャラウェイの視点から語られてるからであって、少し冷静に考えれば再会させるべきではない二人だとわかったはずだ。

 最後の悲劇も、キャラウェイが毅然とした態度をとっていれば、避けられたかもしれない。

 そうして、キャラウェイは西部にもどっていくのだ。
 流れに翻弄されれるボートを思いながら。

 美しい、悲しい物語だった。







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* by * 20:30 * 文学ww翻訳 * comments(0) * trackbacks(0) *
カズオ・イシグロ【わたしたちが孤児だったころ】
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)
カズオ イシグロ 早川書房 売り上げランキング: 22943


 上海の租界で暮らしていた少年は10歳の時、両親が失踪してイギリスに帰る。
 長じて、探偵となった彼は両親の行方を捜すべく、再び上海に戻ってくる。

 主人公、クリストファー・バンクスの視点でずっと語られる。
 も、カズオ・イシグロ氏の語り手はあてにならないと、他の作品読んで知ってるから、そういう覚悟で読み始めたけどやっぱり、結局のところ真実はどこにあったのか見失ってしまうのである。
 「真実はたった一つ」と毎度言ってる探偵もいますが、イシグロ氏はそれは個人の価値観でしかないと、常に示唆してるのかもしれない。ただ、語り手は自分が語っていることが真実であると完全に信じているけど。
 信じすぎることで、盲目になる、視野狭窄になること。そしてそのことが、周りに与える影響を、描いているように感じた。
 視界が狭いのも独りよがりなのも、子供であるなら許される。そしてそれは世界を揺さぶることはない。が、大人になってしまった主人公は、大人になりきれなかった部分をなんとかするために上海に戻ってこなければならなかった。が、もどって彼が得たものは、別の空虚でしかない。
 彼は、空虚の上書きをしただけなのだろう。
 ただ、自分が傷つくことなく、そういった代償を周りに振りまいて…。

 とはいえ、イシグロ氏のほかの作品に比べると、相当エンターテイメイトしている。
 上海時代の幼馴染の日本人の少年とのノスタルジーや、社交界の花形でのちに上海で再会することになる女性や、養育することになった孤児の少女など、次々と現れる個性的な人物が、主人公の冒険に花をそえている。

 …「わたしを離さないで」より、こっちの方が映画化に向いてる気がするんだけどね。
 




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* by * 16:49 * 文学ww翻訳 * comments(0) * trackbacks(0) *
F.スコット フィッツジェラルド 【若者はみな悲しい】
若者はみな悲しい (光文社古典新訳文庫)
F.スコット フィッツジェラルド
光文社 (2008-12-09)
売り上げランキング: 138298


 短編集。
 *お坊ちゃん
 *冬の夢
 *子どもパーティ
 *赦免
 *ラッグズ・マーティン=ジョーンズとイギ○スの皇○子
 *調停人
 *混血と冷血
 *「常識」
 *グレッチェンのひと眠り

 なんというか、古きよき時代の粋がつまってる感じです。
 っても、出てくる人物はそれぞれに虚無をかかえ、窒息感にあえいではいるんだけどね。その姿すら、美しい。
 そう、美しいということが大切なように思った。

 ずっと一人の女性を思い続けた男の顛末を描く「冬の夢」
 自分のものにできず、そして最後に彼女の境遇を聞いても、主人公はただ心を痛めるだけだ。決して彼女を責めない。彼女が自分を選ばなかったこと、それはそれと考える冷静さがある。
 物語の美しさは、この冷静さと分別によって織りあげられているのかもしれない。

 

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* by * 21:13 * 文学ww翻訳 * comments(0) * trackbacks(0) *
ケン・フォレット【大聖堂 果てしなき世界】
大聖堂―果てしなき世界 (上) (ソフトバンク文庫 フ 3-4)
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大聖堂―果てしなき世界 (中) (ソフトバンク文庫 フ 3-5)
ケン・フォレット ソフトバンククリエイティブ 売り上げランキング: 5529

大聖堂―果てしなき世界 (下) (ソフトバンク文庫 フ 3-6)
ケン・フォレット ソフトバンククリエイティブ 売り上げランキング: 16146


 スパイ小説の重鎮、ケン・フォレットの歴史小説。
 「大聖堂」より、200年後の世界を舞台に、大聖堂建築をめぐる人間模様が鮮やかに描かれている。

 「大聖堂」が12世紀当時の土木技術への挑戦と宗教を描いていたのに対して、この「大聖堂 果てしなき世界」では、台頭してくる商人や吸引力を失っていく教会が描かれている。
 <絶対>を失った世界で、イングランドで一番高い塔を建てることを、どう意味つけるのか。

 信じていたものに裏切られ、身を守るために意にそわぬ選択をせざる得ず、またそれも砂上の楼閣のようにもろく崩れていくヒロイン。
 反対に、不幸な生い立ちながら、愛する男のためという一念を貫いていくもう一人のヒロイン。
 2人の対極のヒロインと、没落した貴族の子供として生まれ、建築家と騎士と正反対の生き方をする兄弟が、物語を極上のエンターテイメントに導いてくれている。

 フォレットの小説は、人物造詣がいつも素敵だが、これではそれが最大限に生かされてるように感じた。
 そう、前作のような建築技術の発展的な部分を求めると肩透かしをくらうし、前作で物足りなかった人が物語を作りあげていくという部分は、この上もなく満足させてくれる。

 これほど、最後のページを閉じるのが残念でならなかった物語はない。






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* by * 20:16 * 文学ww翻訳 * comments(0) * trackbacks(0) *
カズオ・イシグロ【浮世の画家】
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)
カズオ イシグロ 早川書房 売り上げランキング: 168308


 戦時中名をなした画家小野だったが、戦後の今は屋敷にこもり隠遁生活をしている。戦中と戦後で、正反対に変わった価値観が、彼を翻弄する。

 人は、なにを生きる拠り所とするのだろう。
 そして、自分のそれが他者からは何も価値がないと、やんわりと否定された時、自我を保っていかれるものなのだろうか。

 ここに描かれているのは、鬱々とした日々をすごす一人の老人の姿だ。
 自分で語る自画像と、彼を取り巻く人が思っている彼の姿とが、まるでぶれた写真のように居心地悪く曖昧に、こちらに提示されてくる。
 カズオ・イシグロは、読者をだます作家だ。
 「日々の名残り」でも「私を離さないで」でも、こちらが見ていたと感じていた風景を、一瞬で虚無に返してしまった。
 だから、ちょっと構えて読んでいたのに…。

 人には生きる理由が、やはり必要なのだ。
 たとえそれが身勝手な、ある意味妄想だといえるようなものだとしても。そして、特に「過去」しかない老人にとっては、過去を生きる理由にするしかないのだ。
 小野の語る過去は、常に偽善的だ。
 だが、だれがそれを責めることができるだろう。彼はそうやって自分を、「浮世の画家」が描く、行燈の光と闇の薄ぼんやんリとした境に自分を置くことで結局は、過去にも今にも上手く生きることができなくなっているのだから。

 彼の哀しみは、戦争によって「リアル」を失ったことなのだろう。そして、彼はそれに気付いていない。
 だから、物語は閉塞したままで終わるしかない。






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* by * 20:24 * 文学ww翻訳 * comments(0) * trackbacks(0) *
カズオ・イシグロ【わたしを離さないで】
わたしを離さないで
わたしを離さないで


 特殊な環境で育った特殊な役割を負った子供たちの話。

 解説にもありませすが、へんにストーリーを聞くと、面白さが半減どころか台無しです。

 カズオ・イシグロは「日の名残り」でも思ったんだが、他愛のないところに潜む狂気を淡々と描いている。
 うん、今思い返すと「日の名残り」は結構怖い話なのだ。
 で、これもなんか薄ら怖い話。

 淡々としてるのが、怖い。

 特殊な生まれで、特殊な環境で育ったとしても、どうして彼女たちは打破するという方向にいかないのだろう。
 …これが、教育の力なのだろうか。

 生まれと環境に、プラスされ「教育」という部分があるからこその怖さであり、警鐘なのだろうか。

 にしても、やっぱ、イシグロは上手いね。
 村上春樹より、先にノーベル賞とっちゃうんだろうねぇww

 …と、清水玲子の「輝夜姫」が、がぜん読みたくなったですよ。
 うむ。
 イシグロも、あれぐらいがっつり書き込んで欲しかったなぁ。
 って、書いちゃうとSFになって、それはそれで方向性が違うんだろうけど。

 カテゴリーっていうのは、時に不自由ですな。





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* by * 21:18 * 文学ww翻訳 * comments(0) * trackbacks(0) *
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